司法書士法人 貝原事務所(沼津市の司法書士)

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本ブログに記載する情報(とくに法律・登記関係)の利用については、あくまで参考としてご活用ください。
弊所が情報の完全性を保証するものではありませんのでご留意ください。

 

遺産分割事件に関する司法統計を見る。

遺産分割事件にかかわる平成30年度の司法統計から。

 

1.終局区分別

総数13,040件

うち調停成立が6,683件

調停に代わる審判が2,806件。

これだけで約72%となります。

認容(審判がなされたもの)は895件(約7%)。

 

2.審理期間・期日回数

分母は終局事件。

(1)審理期間

6カ月以内に終了するのが、4,709件(約36%)

6カ月超~1年以内に終了するのが、4,403件(約34%)

1年超~2年以内に終了するのが、2,920件(約22%)

2年超が、1,008件(8%)。

(2)期日回数

0回が737件(約6%)

1~3回が5,080件(約39%)

4・5回が2,598件(約20%)

6~10回が3050件(約23%)

それ以上が、1575件(約12%)。

ちなみに21回以上という内訳があり、その件数、282件。

 

 

3.遺産の内容・価格別
分母は、認容・調停成立件数(7,507件)。

(1)遺産の価額

1000万円以下が2,476件(約33%)

1000万円超5000万円以下が3,249件(約43%)

5000万円超1億円以下が832件(約11%)

1億円超が586件(約8%)
なお算定不能や不詳が364件。

(2)遺産の内容

「①土地」「②建物」「③現金等」「④動産その他」で区分されており、

多い順に、

①+②+③:2,463件

③のみ:1,203件

①+②:1,142件

①~④:874件

①:585件

となっています。

③のみも1,203件と多く、

あまり財産の種類は関係ないのかなと感じました。

 

 

理事長の変更登記と定款添付(医療法人)

理事長が重任するケースについて。

医療法改正により、理事及び理事長の選任機関に関する規定が置かれたため、従来「選任機関を証するため」に添付されていた定款(又は寄付行為。以下同じ。)の添付は不要となった。

しかしながら、次の場合には、定款の添付を要する。

1.理事長を、理事会ではなく、社員総会又は評議員会で選出する場合
2.理事会議事録に署名又は記名押印する者を、当該理事会に出席した理事長にする旨の定めが定款にあり、これに基づいて理事会議事録に理事長のみが署名又は記名押印している場合
3.定款の定めに基づき、理事会の決議省略により、理事長を選出した場合
4.社員総会の定足数、決議要件につき、定款で「別段の定め」をおいている場合

 

医療法(昭和二十三年法律第二百五号)
第四十六条の五 
医療法人には、役員として、理事三人以上及び監事一人以上を置かなければならない。ただし、理事について、都道府県知事の認可を受けた場合は、一人又は二人の理事を置けば足りる。
2 社団たる医療法人の役員は、社員総会の決議によつて選任する。
3 財団たる医療法人の役員は、評議員会の決議によつて選任する。
4 (・・・)
9 役員の任期は、二年を超えることはできない。ただし、再任を妨げない。


第四十六条の七 
理事会は、全ての理事で組織する。
2 理事会は、次に掲げる職務を行う。
一 医療法人の業務執行の決定
二 理事の職務の執行の監督
三 理事長の選出及び解職

 参考: 登記研究883号1ページ

合同会社の定款作成代理の委任状

 

o-kai-up-to-date.hatenablog.com

 前段となる部分は、上記記事を参照。

 

社員から委任を受けて司法書士が電子定款を作成した際に、
登記申請に際して、
(1)電子署名付きの定款を添付する必要があるか。
(2)定款の代理作成にかかる委任状の添付が必要あるか。

 

以下、ハンドブックを参照。

(1)については、必要アリとされる。
これについて、代理人電子署名した定款ではなく、「同一情報である」旨の奥書付き(公証人の発行するアレ)で定款内容を紙に印刷したものを添付するのは不可とされる。
(2)については、不要とされる。
そもそも、社員自身が作成した紙定款を申請するに際しても、記名押印にかかる印鑑証明書は不要とされている(人的信頼関係が前提とされるそうだが、その信頼関係の有無を確認すべきではないのだろうか。。)。だから、委任状すらも不要なのだろうか?
正直モヤモヤするが、とにかく不要である。
もちろん、申請に際して添付は不要でも、代理して業務するにあたって委任事項を確認できる書面(あるいは電磁的記録)は必要であろう。

合同会社の持分の相続

1.条文

会社法(平成十七年法律第八十六号)
第六百七条 
社員は、(・・・)、次に掲げる事由によって退社する。
(・・・)
三 死亡
四 合併(合併により当該法人である社員が消滅する場合に限る。)
五 破産手続開始の決定
六 解散(前二号に掲げる事由によるものを除く。)
七 後見開始の審判を受けたこと。
八 除名
2 持分会社は、その社員が前項第五号から第七号までに掲げる事由の全部又は一部によっては退社しない旨を定めることができる。

 

第六百八条 
持分会社は、その社員が死亡した場合又は合併により消滅した場合における当該社員の相続人その他の一般承継人が当該社員の持分を承継する旨を定款で定めることができる
2 第六百四条第二項の規定にかかわらず、前項の規定による定款の定めがある場合には、同項の一般承継人(社員以外のものに限る。)は、同項の持分を承継した時に、当該持分を有する社員となる。
3 第一項の定款の定めがある場合には、持分会社は、同項の一般承継人が持分を承継した時に、当該一般承継人に係る定款の変更をしたものとみなす。
4 第一項の一般承継人(相続により持分を承継したものであって、出資に係る払込み又は給付の全部又は一部を履行していないものに限る。)が二人以上ある場合には、各一般承継人は、連帯して当該出資に係る払込み又は給付の履行をする責任を負う。
5 第一項の一般承継人(相続により持分を承継したものに限る。)が二人以上ある場合には、各一般承継人は、承継した持分についての権利を行使する者一人を定めなければ、当該持分についての権利を行使することができない。ただし、持分会社が当該権利を行使することに同意した場合は、この限りでない。

 

第六百四十一条 
持分会社は、次に掲げる事由によって解散する。
一 定款で定めた存続期間の満了
二 定款で定めた解散の事由の発生
三 総社員の同意
四 社員が欠けたこと。
五 合併(合併により当該持分会社が消滅する場合に限る。)
六 破産手続開始の決定
七 第八百二十四条第一項又は第八百三十三条第二項の規定による解散を命ずる裁判

 

第六百四十七条
3 前二項の規定にかかわらず、第六百四十一条第四号又は第七号に掲げる事由によって解散した清算持分会社については、裁判所は、利害関係人若しくは法務大臣の申立てにより又は職権で、清算人を選任する。

 

 

2.
原則として、社員が死亡した際、その持分は相続されない。仮に社員が1名で、当該社員に相続が発生した場合には、「社員が欠けた」状況となるため、会社は解散する
清算人は647条3項により選任される。)。
ただし、定款において、相続人その他の一般承継人が当該社員の持分を承継する旨を定めることができる。
その場合の処理は、608条による。
相続の場合には、相続開始の際に社員となり(同2項)、かつ同時に定款変更されたものとみなされる(同3項)。ただし、相続人が2名以上ある場合には、権利行使者1名を選定する必要がある(同5項)。

 

 

3.遺産分割協議と持分承継について
(1)
たとえば社員AとBの合同会社において、Bが死亡した。
当該会社の定款には、相続により持分が承継される旨の記載があり、Bの相続人甲と乙が、当該記載に基づき、持分を承継した。
このケースにおいて、甲・乙の遺産分割協議により、合同会社の持分承継者を甲単独とすることができるのか。
(2)
両説があるようだが、ハンドブックは肯定。先例は否定(参考:S34.1.14民事甲2723号回答。)。否定説の場合は、いったん承継後、持分譲渡をせよとの主張であるが、税務上どうか?
会社が、被相続人合意のもと「相続人」に対する承継を認めることができるのは良いとして、相続人間の承継の仕方について、どこまで相続人に指示できるのだろうか?
遺言があった場合には?
(3)
否定説の場合には、まず法定相続分に基づいて社員変更を行ったうえで、遺産分割協議の結果に基づいて「持分譲渡」として再度社員変更を行う。持分譲渡に際しては、特定承継としてほかの社員の同意が必要?

 

4.一般承継について、他の社員の同意を必要とすることの可否
可能とされる(参照:ハンドブック2版P.599)。「他の社員の同意」というような条件のほかにも、広範な条件設定が可能とされる。
そのため、上記3についても、たとえば「遺産分割協議がなされた場合には、当該協議の内容に従い承継される」などの定款の定めがあれば、それも許される。
また、「承継される」ではなく「承継できる」との規定も可能で、その場合には、各相続人が持分承継の意思表示をすることによって承継の効力が生じる。

 

 

5.まとめ
とても複雑だ。

配偶者居住権等の評価に関する質疑応答事例(国税庁)

国税庁から公開されています。

 

「配偶者居住権等の評価に関する質疑応答事例」について(情報)|国税庁

 

 

有限会社の取締役の解任

1.取締役の解任

会社法(平成十七年法律第八十六号)
第三百三十九条 
役員及び会計監査人は、いつでも、株主総会の決議によって解任することができる。
2 前項の規定により解任された者は、その解任について正当な理由がある場合を除き、株式会社に対し、解任によって生じた損害の賠償を請求することができる。

会社法339条2項にいう「解任によって生じた損害」とは、残りの任期中の報酬相当額であるとされる(与えられた任期を全うすることへの期待の保護。ただし、会社法では最大任期が10年とされているなかで、単純に「残任期間」としてよいかは争いあり。)。
そうなると、任期の定めのない有限会社の役員については、「残りの任期」を観念しえないから、同条項の適用はないことに。
とはいえ、委任の原則に戻り民法651条2項が適用される可能性は残る。 

民法(明治二十九年法律第八十九号)
第六百五十一条 
委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。
2 前項の規定により委任の解除をした者は、次に掲げる場合には、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。
一 相手方に不利な時期に委任を解除したとき。
二 委任者が受任者の利益(専ら報酬を得ることによるものを除く。)をも目的とする委任を解除したとき。

 

2.裁判例

東京地裁平成30年4月25日判決(判例タイムズ1472号)

 この裁判例は、会社法339条2項、民法651条2項あるいは同法709条(不法行為)に基づく損害賠償請求をいずれも認めなかったもの。