司法書士法人 貝原事務所(沼津市の司法書士)

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不動産の付合

1.条文

民法(明治二十九年法律第八十九号)

第二百四十二条 

不動産の所有者は、その不動産に従として付合した物の所有権を取得する。ただし、権原によってその物を附属させた他人の権利を妨げない。

第二百四十八条 

第二百四十二条から前条までの規定の適用によって損失を受けた者は、第七百三条及び第七百四条の規定に従い、その償金を請求することができる。

第七百三条 

法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(以下この章において「受益者」という。)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。

第七百四条 

悪意の受益者は、その受けた利益に利息を付して返還しなければならない。この場合において、なお損害があるときは、その賠償の責任を負う。

 

 

2.判例

(1)最判昭和38年5月31日(民集第17巻4号588頁)

増築部分が甲建物と別個独立の存在を有せず、その構成部分となつている旨の原審の認定は、挙示の証拠に照し、首肯するに足りる。このような場合には、右増築部分は民法二四二条により甲建物の所有者である被上告人の所有に帰属し、上告人は右増築部分の所有権を保有しえず・・・

(2)最判昭和44年7月25日(民集第23巻8号1627頁)

第三建物は、既存の第二建物の上に増築された二階部分であり、その構造の一部を成すもので、それ自体では取引上の独立性を有せず、建物の区分所有権の対象たる部分にはあたらないといわなければならず、たとえDが第三建物を構築するについて右第二建物の一部の賃貸人Eの承諾を受けたとしても、民法二四二条但書の適用はないものと解するのが相当であり、その所有権は構築当初から第二建物の所有者Eに属したものといわなければならない。

 

3.増築部分の所有権(?)

既存の建物に増築を行う場合、増築部分は取引上の独立性を有しない状況になるのが通常。その場合には、増築部分が独立した所有権の対象になるのではなく、民法242条により、既存建物の所有権に吸収される。

他人所有の不動産に増築を行った場合、増築を行った人は、増築費用を負担しても、それに見合う建物所有権を取得することはできない。

かわりに、民法248条に従い、不動産所有者に対して償金を請求することができる。

(償金請求を放棄した場合には、課税上の問題が生じる点に留意。課税上の問題が生じないよう、増築後の建物の持分の一部を移転させたり、増築前に建物の持分を取得させたりして対応する。)