司法書士法人 貝原事務所(沼津市の司法書士)

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昭和43年12月24日最判と前提の先例について

1.裁判要旨

株式会社の取締役または監査役の任期満了または辞任による退任により法律または定款に定める取締役または監査役の員数を欠くに至つた場合においては、右退任による変更登記は、あらたに選任された取締役または監査役の就職するまで許されない。

 

2.理由

商法二五八条一項、二八〇条によれば、法律または定款に定めた取締役または監査役の員数を欠くに至つた場合においては、任期満了または辞任によつて退任した取締役または監査役は、新たに選任された取締役または監査役の就職するまでなお取締役または監査役の権利義務を有するのであるから、このような者については、退任による変更登記をしたままにしておくことは取引の安全の見地からみて適当なことではなく、退任者がなお取締役または監査役の権利義務を有することを登記公示することが必要であると解せられる。しかるに、法律においては、この特別な場合に関する登記公示について明文の規定を欠いているので、このような場合には、取締役または監査役の権利義務を有する退任者につき、登記簿上なお取締役または監査役の登記を存続させておくべきものと解することは前叙の見地からして合理的理由があるというべきである。従つて、取締役または監査役の任期満了または辞任による退任があつても、商法二五八条一項の適用または準用をみる場合においては、いまだ同法六七条に定める登記事項の変更を生じないと解するのが相当である。そして、以上のように解することは、利害関係人や一般公衆に対し取引上重要な事項を知らしめて不測の損害を防止することを目的とする商業登記制度の趣旨にもとるものではない。

 

 

3.先例(その1)

昭和34年9月23日民事甲2136号回答

質問の要旨はつぎのとおり。

取締役3名・監査役1名の任期満了後も役員の選任決議を行わない会社にあって、取締役1名・監査役1名から辞任の申し出があった。そのため、臨時株主総会を招集し、取締役1名・監査役1名を選任した。
よって、取締役及び監査役の各辞任・就任の登記申請があったが、対応如何。

回答の要旨はつぎのとおり。

取締役及び監査役は、すでに任期満了となっているので、辞任による退任の登記は受理すべきでない。

取締役の就任の登記は受理しても良い。

監査役の任期満了による退任及び就任の登記は、受理しても良い。

 

 

4.先例(その2)

昭和37年8月18日民事甲2350号回答

質問の要旨はつぎのとおり。

取締役10名全員が任期満了している株式会社において、取締役1名のみの退任登記の申請があった場合に、これを受理して良いものか・・

回答の要旨はつぎのとおり。

不可。全取締役が任期満了により同時に退任した場合、取締役各人の退任全てが、取締役欠員の原因となっており、、各人の間に順位等の区別をつけることは困難である。
よって、仮に員数が3名であるとしても、また合意により残任する3名を定めたとしても、退任による登記申請は受理できない。
(なお合意により云々については、議論の余地があるかもしれない。)