司法書士法人 貝原事務所(沼津市の司法書士)

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配偶者の長期居住権の簡易な評価方法

配偶者の長期居住権の簡易な評価方法

 

 

1.そもそも長期居住権とは

法務省:法制審議会民法(相続関係)部会第26回会議(平成30年1月16日)開催
「部会資料26-1 民法(相続関係)等の改正に関する要綱案(案)」より
配偶者は,被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していた場合において,次のいずれかに掲げるときは,居住建物の全部について無償で使用及び収益をする権利(以下「配偶者居住権」という。)を取得する。
(ア)遺産の分割によって配偶者居住権を取得するものとされたとき。
(イ)配偶者居住権が遺贈の目的とされたとき。
(ウ)被相続人と配偶者との間に,配偶者に配偶者居住権を取得させる旨の死因贈与契約があるとき。
(注)配偶者が配偶者居住権を取得した場合には,その財産的価値に相当する価額を相続したものと扱う

 

 

2.配偶者居住権の評価

法務省:法制審議会民法(相続関係)部会第19回会議(平成29年3月28日)開催
「部会資料19-2 長期居住権の簡易な評価方法について」より

 

(1)建物の評価方法
①建物の価額(固定資産税評価額)= ②長期居住権付所有権の価額 + ③長期居住権の価額
② 長期居住権付所有権の価額 = ①固定資産税評価額 × (法定耐用年数 ー (経過年数+存続年数))/(法定耐用年数 ー 経過年数) × ライプニッツ係数
③ 長期居住権の価額 = ①固定資産税評価額 - ②長期居住権付所有権の価額

「法定耐用年数」は、は減価償却資産の耐用年数等に関する省令(昭和40年3月31日大蔵省令第15号)において構造・用途ごとに規定されている。(例:木造の住宅用建物は22年)
「存続年数」は、配偶者居住権を取得する配偶者本人が死亡するまで使用する前提で、簡易生命表記載の平均余命の値を使用する。
ライプニッツ係数は、配偶者居住権の存続期間が満了した際の建物の財産価値に対して、民法所定の法定利率を基準として導き出される当該係数を乗じ、建物の現在価値を計算するもの。

参照:ライプニッツ係数 - Wikipedia


(2)敷地利用権の評価方法
甲案
① 長期居住権付敷地の価額 = 敷地の固定資産税評価額〔÷0.7〕×ライプニッツ係数
② 長期居住権に基づく敷地利用権 = 敷地の固定資産税評価額〔÷0.7〕-長期居住権付敷地の価額
乙案
① 長期居住権付敷地の価額 = 敷地の固定資産税評価額〔÷0.7〕×(1-敷地利用権割合)
② 長期居住権に基づく敷地利用権の価額 = 敷地の固定資産税評価額〔÷0.7〕×敷地利用権割合

まず、甲案・乙案いずれにおいても、固定資産税評価額を0.7で割って公示価格を算出するものとしている。なお、事案によっては、公示価格や相続税評価額を利用しても良いとしている。
甲案は、敷地が経年劣化しないことを前提に、存続期間満了時の財産価値(=現在の財産価値)に前述のライプニッツ係数を乗じて、現在価値を計算している。
乙案は、相続税評価の際に用いられる「地上権割合」を援用して、借地利用権割合として計算するもの。。
また、両案に言えることであるが、土地全体に占める建物敷地の割合によっては、敷地とそうでない部分とを区分して考慮する場合もあるとされている。