司法書士法人 貝原事務所(沼津市の司法書士)

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保証債務と相続

1.保証債務と相続

(1)

個人的な信頼関係に基づく身元保証務や信用保証債務については相続されない。

身元保証債務については、大判S18.9.10民集22.948。ただし相続開始前に具体化している損害賠償債務については相続される。大判S10.11.29民集14.1934。

信用保証債務については、最判S37.11.9民集16.11.2270。

内容が不確定(限度額や期限の定めがない)であり、また個人的信頼関係に依拠することを理由とする。

 

昭和37年11月9日最判民集16巻11号2270頁

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=53778

裁判要旨

 継続的売買取引について将来負担することあるべき債務についてした責任の限度額ならびに期間の定めのない連帯保証契約における保証人たる地位は、特段の事由のないかぎり、当事者その人と終始するものであつて、保証人の死亡後生じた債務については、その相続人においてこれが保証債務を負担するものではない。 

(2)

連帯保証を含む普通の保証債務については、相続される。

 

 

2.相続税法における債務控除の可否

保証債務については、将来における債務の履行が確定的でなく、求償権の行使により損失が補填される可能性があるため、いくつかの要件を満たさなければ法14条にいう「確実と認められるもの」に該当しない。 

相続税法(昭和二十五年法律第七十三号)

十三条 

相続(・・・)により財産を取得した者が【相続税の納税義務者】である場合においては、当該相続又は遺贈により取得した財産については、課税価格に算入すべき価額は、当該財産の価額から次に掲げるものの金額のうちその者の負担に属する部分の金額を控除した金額による。

一 被相続人の債務で相続開始の際現に存するもの(公租公課を含む。)

第十四条 

前条の規定によりその金額を控除すべき債務は、確実と認められるものに限る。

相続税法基本通達

14-3 保証債務及び連帯債務については、次に掲げるところにより取り扱うものとする。(昭57直資2-177改正、平15課資2-1改正)

(1) 保証債務については、控除しないこと。ただし、主たる債務者が弁済不能の状態にあるため、保証債務者がその債務を履行しなければならない場合で、かつ、主たる債務者に求償して返還を受ける見込みがない場合には、主たる債務者が弁済不能の部分の金額は、当該保証債務者の債務として控除すること。

(2) 連帯債務については、連帯債務者のうちで債務控除を受けようとする者の負担すべき金額が明らかとなっている場合には、当該負担金額を控除し、連帯債務者のうちに弁済不能の状態にある者(以下14-3において「弁済不能者」という。)があり、かつ、求償して弁済を受ける見込みがなく、当該弁済不能者の負担部分をも負担しなければならないと認められる場合には、その負担しなければならないと認められる部分の金額も当該債務控除を受けようとする者の負担部分として控除すること。 

https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/sisan/sozoku2/02/03.htm#a-14_5

 

というわけで、

① 主たる債務者が弁済不能

② 主たる債務者に対して求償しても補填不能

という要件が必要になる。

連帯保証債務の場合には、他の連帯保証人についても同様の基準が必要。

 

そして事実認定は非常に厳格なそうな。