司法書士法人 貝原事務所(沼津市の司法書士)

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本ブログに記載する情報(とくに法律・登記関係)の利用については、あくまで参考としてご活用ください。
弊所が情報の完全性を保証するものではありませんのでご留意ください。

 

株式会社の電子公告について

以下、特段の記載がないかぎり条文は、会社法(平成十七年七月二十六日法律第八十六号)。

 

1.会社法の定め

第九百三十九条  

会社は、公告方法として、次に掲げる方法のいずれかを定款で定めることができる。

一  官報に掲載する方法

二  時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法

三  電子公告

2  (・・・)

3  会社又は外国会社が第一項第三号に掲げる方法を公告方法とする旨を定める場合には、電子公告を公告方法とする旨を定めれば足りる。この場合においては、事故その他やむを得ない事由によって電子公告による公告をすることができない場合の公告方法として、同項第一号又は第二号に掲げる方法のいずれかを定めることができる

4  第一項又は第二項の規定による定めがない会社又は外国会社の公告方法は、第一項第一号の方法とする。

 

 電子公告を公告方法とする場合には、その旨を定款で定めれば足り、URLを定款で定める必要はない。また、電子公告の場合には、事故等により電子公告できない場合の公告方法を定めることができる(公告方法を重畳的に複数の方法で定めることは可能であるが、選択的に定めることはできないとされている。)。

 

 

2.登記について

第九百十一条  

株式会社の設立の登記は、その本店の所在地において、次に掲げる日のいずれか遅い日から二週間以内にしなければならない。

(・・・)

3  第一項の登記においては、次に掲げる事項を登記しなければならない。

(・・・)

二十七  第九百三十九条第一項の規定による公告方法についての定款の定めがあるときは、その定め

二十八  前号の定款の定めが電子公告を公告方法とする旨のものであるときは、次に掲げる事項

イ 電子公告により公告すべき内容である情報について不特定多数の者がその提供を受けるために必要な事項であって法務省令で定めるもの

ロ 第九百三十九条第三項後段の規定による定款の定めがあるときは、その定め

二十九  第二十七号の定款の定めがないときは、第九百三十九条第四項の規定により官報に掲載する方法を公告方法とする旨

 以上より、登記事項はつぎのとおり。

(1)公告方法につき定款の定めがあるときには、その定め。

(2)電子公告の場合には、上記に加え、URL(法務省令は下記規則参照)。

(3)電子公告の場合で、代替的公告方法が定められているときには当該方法。

(4)定款の定めがないときには、官報公告とする旨。 

会社法施行規則(平成十八年二月七日法務省令第十二号)

第二百二十条  

次の各号に掲げる規定に規定する法務省令で定めるものは、【※要するにURL】とする。

一  (・・・)

二  法第九百十一条第三項第二十八号 イ 株式会社が行う電子公告

(・・・)

 

 

3.(おまけ)決算公告について

第四百四十条  

株式会社は、法務省令で定めるところにより、定時株主総会終結後遅滞なく、貸借対照表(・・・)を公告しなければならない。

2  前項の規定にかかわらず、その公告方法が第九百三十九条第一項第一号又は第二号に掲げる方法である株式会社は、前項に規定する貸借対照表の要旨を公告することで足りる。

3  前項の株式会社は、法務省令で定めるところにより、定時株主総会終結後遅滞なく、第一項に規定する貸借対照表の内容である情報を、定時株主総会終結の日後五年を経過する日までの間、継続して電磁的方法により不特定多数の者が提供を受けることができる状態に置く措置をとることができる。この場合においては、前二項の規定は、適用しない。

4  (・・・)

 (1)公告方法が「官報」または「日刊新聞紙」であれば、貸借対照表の要旨を公告すればOK。「要旨」の具体的内容については会社計算規則137条以下を参照。

(2)この場合、貸借対照表の内容を「電磁的方法により不特定多数の者が提供を受けることができる状態に置く」ことで決算公告を省略することができる。ちなみに条文タイトルは「貸借対照表等の電磁的方法による公開の方法」。具体的方法は、会社計算規則および会社施行規則に規定されている。 

会社計算規則(平成十八年二月七日法務省令第十三号)

第百四十七条  

法第四百四十条第三項 の規定による措置は、会社法施行規則第二百二十二条第一項第一号 ロに掲げる方法のうち、インターネットに接続された自動公衆送信装置(公衆の用に供する電気通信回線に接続することにより、その記録媒体のうち自動公衆送信の用に供する部分に記録され、又は当該装置に入力される情報を自動公衆送信する機能を有する装置をいう。)を使用する方法によって行わなければならない。 

会社法施行規則(平成十八年二月七日法務省令第十二号)

第二百二十二条  

(・・・)

一  電子情報処理組織を使用する方法のうちイ又はロに掲げるもの

イ (・・・)

ロ 送信者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録された情報の内容を電気通信回線を通じて情報の提供を受ける者の閲覧に供し、当該情報の提供を受ける者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに当該情報を記録する方法

(・・・)

 

 

4.(おまけ2)「貸借対照表等の電磁的方法による公開の方法」と登記

貸借対照表等の電磁的方法による公開の方法」を取る場合、つぎの事項が登記事項となる。 

第九百十一条

株式会社の設立の登記は、その本店の所在地において、次に掲げる日のいずれか遅い日から二週間以内にしなければならない。

(・・・)

3  第一項の登記においては、次に掲げる事項を登記しなければならない。

(・・・)

二十六  第四百四十条第三項の規定による措置をとることとするときは、同条第一項に規定する貸借対照表の内容である情報について不特定多数の者がその提供を受けるために必要な事項であって法務省令で定めるもの

会社法施行規則(平成十八年二月七日法務省令第十二号)

第二百二十条  

次の各号に掲げる規定に規定する法務省令で定めるものは、【※要するにURL】とする。

一  法第九百十一条第三項第二十六号  法第四百四十条第三項 の規定による措置

(・・・) 

 官報または日刊新聞紙による公告方法を選択する会社が、決算公告については例外的に電磁的方法による公開を選択する場合、貸借対照表を確認するためのURLが登記事項となる。

なお、電子公告を選択する場合には「貸借対照表等の電磁的方法による公開の方法」を選択することはできないが、つぎのとおり決算公告を確認できるURLを、決算公告以外の公告を確認できるURLと分けて登記することができる。 

会社法施行規則(平成十八年二月七日法務省令第十二号)

第二百二十条

2  

法第九百十一条第三項第二十八号 に規定する場合には、同号 イに掲げる事項であって、決算公告(法第四百四十条第一項 の規定による公告をいう。以下この項において同じ。)の内容である情報の提供を受けるためのものを、当該事項であって決算公告以外の公告の内容である情報の提供を受けるためのものと別に登記することができる

 

 

5.登記すべきURLについて

以下は登記情報493・37以下「平成14年に施行された商法等の改正に伴う商業登記の取扱い」(中川晃)より。なお参照記事は貸借対照表の電磁的方法による公開の方法について記載されたもの。

(1)会社自身が開設したウェブサイトでなくても差し支えない

(2)登記されたURLのページから対象情報に容易に到達できることが要求されるが、そうした条件を満たすのであれば、会社HPのトップページでもOKとなる可能性がある。ただしサイト内を検索しなければ情報に到達できないようなアドレスは不適当。

 

 

6.電子公告の公告期間や公告調査について

第九百四十条  

株式会社又は持分会社が電子公告によりこの法律の規定による公告をする場合には、次の各号に掲げる公告の区分に応じ、当該各号に定める日までの間、継続して電子公告による公告をしなければならない。

一  この法律の規定により特定の日の一定の期間前に公告しなければならない場合における当該公告 当該特定の日

二  第四百四十条第一項の規定による公告 同項の定時株主総会終結の日後五年を経過する日

三  公告に定める期間内に異議を述べることができる旨の公告 当該期間を経過する日

四  前三号に掲げる公告以外の公告 当該公告の開始後一箇月を経過する日

 もっとも頻繁に行うであろう決算公告(上記2号)においては、当該決算にかかる定時株主総会終結の日から5年を経過する日まで継続して公告しなければいけない。

さらに、つぎの規定により、公告期間中、適正に公告がなさされていたか調査を受ける必要がある(なお当該規定において決算公告は調査不要とされている。)。 

第九百四十一条  この法律又は他の法律の規定による公告(第四百四十条第一項の規定による公告を除く。以下この節において同じ。)を電子公告によりしようとする会社は、公告期間中、当該公告の内容である情報が不特定多数の者が提供を受けることができる状態に置かれているかどうかについて、法務省令で定めるところにより、法務大臣の登録を受けた者(以下この節において「調査機関」という。)に対し、調査を行うことを求めなければならない。

 

 

7.どんなときに定款で定めた公告方法を利用するのか。

一例として。

(1)債権者保護手続きのなかで、所定の公告を行うことにより、個々の債権者に対する各別の催告を省略できるケース

第四百四十九条  

(・・・)「資本金等」(・・・)の額を減少する場合(・・・)には、当該株式会社の債権者は、当該株式会社に対し、資本金等の額の減少について異議を述べることができる。

(・・・)

3  前項の規定にかかわらず、株式会社が同項の規定による公告を、官報のほか、第九百三十九条第一項の規定による定款の定めに従い、同項第二号又は第三号に掲げる公告方法によりするときは、前項の規定による各別の催告は、することを要しない。 

第七百八十九条

(・・・)

3  前項の規定にかかわらず、消滅株式会社等が同項の規定による公告を、官報のほか、第九百三十九条第一項の規定による定款の定めに従い、同項第二号又は第三号に掲げる公告方法によりするときは、前項の規定による各別の催告(・・・)は、することを要しない。

(2)臨時株主総会開催時の基準日

第百二十四条  

株式会社は、一定の日(以下この章において「基準日」という。)を定めて、基準日において株主名簿に記載され、又は記録されている株主(以下この条において「基準日株主」という。)をその権利を行使することができる者と定めることができる。

2  基準日を定める場合には、株式会社は、基準日株主が行使することができる権利(基準日から三箇月以内に行使するものに限る。)の内容を定めなければならない。

3  株式会社は、基準日を定めたときは、当該基準日の二週間前までに、当該基準日及び前項の規定により定めた事項を公告しなければならない。ただし、定款に当該基準日及び当該事項について定めがあるときは、この限りでない。