司法書士法人 貝原事務所(沼津市の司法書士)

司法書士法人 貝原事務所(沼津市の司法書士)のブログです。業務に関連する話題はもちろん、それ以外の話題でも、関心を持った範囲で投稿してまいります。

本ブログに記載する情報(とくに法律・登記関係)の利用については、あくまで参考としてご活用ください。
弊所が情報の完全性を保証するものではありませんのでご留意ください。

 

平成28年3月11日民二第219号通達について

従来、相続関係を証する書面として本来添付しなければならない戸籍が、滅失等で添付不可である場合には、「完全には相続関係が確認できない」と考えられることから、①「市町村長の廃棄証明書」および②「ほかに相続人がいない旨の相続人全員による証明書」を追加的に添付すべしとされていました(昭和44年3月3日民甲第373号回答)。

この取り扱いを改め、結論として、必要な戸籍が滅失等で添付不可である場合には、上記①のみを追加的に添付すれば良いとしたのが掲題通達。

 

解説としては、たとえば登記情報655号P29以下を参照。

取り扱い変更にいたる理由は、要するに

(1)現に登記申請に関係する相続人と、被相続人との関係が数世代離れているケースが増加しており、そうした場合に「ほかに相続人がいない」との証明を求めるのは不可能。

(2)除籍等が滅失しているのは相続人に帰責することができない事由によるもので、そのことによる負担を相続人に転嫁すべきではない。

という理由が強いのではないでしょうか。従来から、実体関係を証明するという役割よりも、相続人が保証する(責任をもつ)という意味合いの強い書面でしたので。。。

 

 

従来の先例との関係

(1)先述の昭和44年回答

掲題通達で取り扱いが改められ、「ほかに相続人はいない」との証明書は不要に。

(2)昭和55年2月14日民三第867号回答

相続人の続柄の記載から、他の相続人の存在が推定される場合においても、廃棄証明の添付があれば、「ほかに相続人はいない」との証明書は不要(残存除籍等において子の続柄が「二男」から始まっているが、長男について記載はないケースなど。)。

(3)昭和58年3月2日民三第1311号回答

「一切の責任をもつ」旨の相続人1名の差入れ書は不可。

(4)平成11年6月22日民三第1259号回答

判決理由中に「ほかに相続人がいない」との認定がなされているときは、「ほかに相続人はいない」との証明書に代えることができるとするものであったが、以後は「いない証明」自体が不要。

 

 

その他留意点

(1)

紛争防止の観点から、遺産分割協議書にあえて「他に相続人はいない」旨の記載をすることがあります。本通達以降においても、こうした実務対応を否定するものではなく、状況の応じて「いない」旨の証明書を作成・添付することを検討すべき。

(2)

市町において「廃棄証明(廃棄したことにより証明書発行が不能であることを証明するもの)」を発行しない場合においては、「交付不能書面(該当する書面の交付はできないことを証明するもの)」を提供することでも対応可能とする。