司法書士法人 貝原事務所(沼津市の司法書士)

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預金債権の相続に関する判例変更

1.判決の要旨

共同相続された普通預金債権,通常貯金債権及び定期貯金債権は,いずれも,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはなく,遺産分割の対象となる

裁判所 | 裁判例情報:検索結果詳細画面

 

 

2.

判例変更となりました。

実務的には、例外的に認められていた一部相続人からの払戻が不可となる可能性があります。

この点については、「大谷裁判官、小貫裁判官、山崎裁判官、小池裁判官、木澤裁判官の補足意見」にて対応策が提示されています。

「共同相続人において被相続人が負っていた債務の弁済をする必要がある,あるいは,被相続人から扶養を受けていた共同相続人の当面の生活費を支出する必要があるなどの事情により被相続人が有していた預貯金を遺産分割前に払い戻す必要があるにもかかわらず,共同相続人全員の同意を得ることができない場合に不都合が生ずるのではないか」

「このような場合,現行法の下では,遺産の分割の審判事件を本案とする保全処分として,例えば,特定の共同相続人の急迫の危険を防止するために,相続財産中の特定の預貯金債権を当該共同相続人に仮に取得させる仮処分(仮分割の仮処分。家事事件手続法200条2項)等を活用することが考えられ・・・」

 

 

3.気になる箇所の抜粋

「預金者が死亡することにより,普通預金債権及び通常貯金債権は共同相続人全員に帰属するに至るところ,その帰属の態様について検討すると,上記各債権は,口座において管理されており,預貯金契約上の地位を準共有する共同相続人が全員で預貯金契約を解約しない限り,同一性を保持しながら常にその残高が変動し得るものとして存在し,各共同相続人に確定額の債権として分割されることはない」

「定期貯金についても,定期郵便貯金と同様の趣旨で,契約上その分割払戻しが制限されている」

 

 

4.大橋裁判官の意見(結論賛成、理由付け相違)

問題は,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割される可分債権を遺産分割において一切考慮しないという現在の実務(以下「分割対象除外説」という。)にあるといえる。

。これに対して,私は,可分債権を含めた相続開始時の全遺産を基礎として各自の具体的相続分を算定し,これから当然に分割されて各自が取得した可分債権の額を控除した額に応じてその余の遺産を分割し,過不足は代償金で調整するという見解(以下「分割時考慮説」という。)を採用すべきものと考える。