司法書士法人 貝原事務所(沼津市の司法書士)

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本ブログに記載する情報(とくに法律・登記関係)の利用については、あくまで参考としてご活用ください。
弊所が情報の完全性を保証するものではありませんのでご留意ください。

 

死因贈与による登記申請について

1.死因贈与とは

(1)定義

民法(明治二十九年四月二十七日法律第八十九号)

第五百五十四条  

贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与については、その性質に反しない限り、遺贈に関する規定を準用する。 

「その性質に反しない限り」ということなので、遺贈の方式にかかる部分は準用されない。遺言によることを必要とせず、撤回も原則として自由である。

撤回の可否が問題となるケースとして、負担付き死因贈与契約が締結され、贈与者の生前に受贈者が負担義務を履行していた場合が挙げられる。

 

(2)遺贈との比較

【異なる点】

死因贈与は契約である。

・作成にも撤回にも様式性はない。

・仮登記が可能である。

【同じ点】

・撤回は自由(例外有り)。

・執行者の指定が可能(相続登記申請MEMO参照。登記研究761P142。登記研究447質疑応答。)。

【見解の相異がある点】

・効力発生前に受遺者(受贈者)が死亡した場合に、その相続人は贈与を受けることの可否(裁判例は両説あり)。

死因贈与相続放棄の関係

(参考:最判平成10年2月13日)

 

(3)税務上の留意点

・不動産取得税の課税対象である。

・登録免許税率は、贈与に準じ、2%である

(※相続人への遺贈は0.4%)。

・贈与税ではなく相続税の課税対象である。

 

(4)メリット

遺言のような形式に拘束されることがない?

(とはいえ、登記手続の面からみると、一概にメリットといえるかどうか。。)

 

 

2.死因贈与による登記申請(本登記)

「相続人の関与」という観点から見ると、契約形態・契約内容により大きな差がでてくる。

 

(1)申請人

パターン1:執行者の指定がない

受贈者と、贈与者の相続人との共同申請。

 

パターン2:執行者の指定がある

受贈者と、執行者との共同申請。

ただし、死因贈与契約が公正証書によるものでない場合には、真正担保のために、死因贈与契約書に押印された印鑑にかかる贈与者の印鑑証明書(当然の前提として、契約書に実印で押印されていなければならない。)or贈与者の相続人全員の承諾証明情報(印鑑証明書付き。かつ相続人であることを証する情報。)の提供を要する(登記研究566P131、761P142)ため、相続人全員の関与が必要である点に注意。

 

 

(2)添付書類

パターン1:

登記原因証明情報

(契約書、贈与者の死亡を証する戸籍謄本等。)

死因贈与契約書が公正証書によらない場合)上記印鑑証明書or相続人の承諾証明情報。

登記識別情報

相続人全員の印鑑証明書

相続人であることを証する情報(戸籍謄本等)

受贈者の住所証明情報(住民票の写し)

農地法の許可(登記研究427P104))

 

パターン2:

登記原因証明情報

(契約書、贈与者の死亡を証する戸籍謄本等。)

死因贈与契約書が公正証書によらない場合)上記印鑑証明書or相続人の承諾証明情報。

登記識別情報

執行者の権限証明および印鑑証明書

受贈者の住所証明情報(住民票の写し)

農地法の許可(登記研究427P104))

 

なお、いずれのパターンにおいても、登記原因証明情報の一環として添付される印鑑証明書について3カ月の期間制限はない(登記研究566P131)。

 

(3)登録免許税

不動産価額の1000分の20。

 

(4)注意点

公正証書で作成し、かつ執行者を指定することに多くのメリットがある(この点は遺贈と同様。)。

仮登記の本登記においても、添付書類は同様となる。

 

 

3.死因贈与による登記申請(仮登記)

 (1)1号仮登記

贈与者の死亡後において、仮登記をすることができる。

 

(2)2号仮登記

仮登記をすることができる。

さらに、死因贈与契約が、公正証書により作成されおり、かつ仮登記の承諾条項がある場合には、当該公正証書をもって受贈者が単独で登記申請をすることができる。

不動産登記法(平成十六年六月十八日法律第百二十三号)

第百七条  

仮登記は、仮登記の登記義務者の承諾があるとき及び次条に規定する仮登記を命ずる処分があるときは、第六十条の規定にかかわらず、当該仮登記の登記権利者が単独で申請することができる。 

昭和54年7月19日民三4170

公正証書の正本又は謄本が、仮登記義務者の承諾書として添付されていれば、仮登記義務者の印鑑証明書の提出は不要。