司法書士法人 貝原事務所(沼津市の司法書士)

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本ブログに記載する情報(とくに法律・登記関係)の利用については、あくまで参考としてご活用ください。
弊所が情報の完全性を保証するものではありませんのでご留意ください。

 

共有物分割と持分放棄の比較(農地法の許可や課税関係)

1.検討

農地について,共有物分割あるいは持分放棄をするときに農地法3条の許可を必要とするか。

結論を先に言うと,課税関係が非常に難しいので,税理士さんと二人三脚(司法書士も交えると三人四脚)で事にあたるべきかと。

民法(明治二十九年四月二十七日法律第八十九号)
第二百五十五条  
共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。
第二百五十六条  
各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。(・・・) 

また,いずれにおいても登記申請は「共同申請」。

単独で行うことのできる「持分放棄」においても,登記に反映するためには共有者の協力が必要となります。 

 

2.持分放棄
(1)
農地法3条の許可は不要(意思表示に基づく権利移転ではないから)。
(登記先例解説集9-4-97)
(2)
税務上は贈与と同じという扱いを受ける。
贈与者・受贈者は,連帯納付の義務がある点にも留意。

相続税法(昭和二十五年三月三十一日法律第七十三号)
第九条  
(・・・)対価を支払わないで、又は著しく低い価額の対価で利益を受けた場合においては、当該利益を受けた時において、当該利益を受けた者が、当該利益を受けた時における当該利益の価額に相当する金額(・・・)を当該利益を受けさせた者から贈与(当該行為が遺言によりなされた場合には、遺贈)により取得したものとみなす。
第三十四条  
4  財産を贈与した者は、当該贈与により財産を取得した者の当該財産を取得した年分の贈与税額に当該財産の価額が当該贈与税の課税価格に算入された財産の価額のうちに占める割合を乗じて算出した金額として政令で定める金額に相当する贈与税について、当該財産の価額に相当する金額を限度として、連帯納付の責めに任ずる。

国税庁 相続税基本通達
9-12 

共有に属する財産の共有者の1人が、その持分を放棄(相続の放棄を除く。)したとき、又は死亡した場合においてその者の相続人がないときは、その者に係る持分は、他の共有者がその持分に応じ贈与又は遺贈により取得したものとして取り扱うものとする。


3.共有物分割
(1)
農地法3条の許可を必要とする(意思表示に基づく権利移転だから)。
(登記先例解説集9-4-97)
(2)
交換として課税関係が生じうる(贈与税が課税される可能性もある。)。

https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/joto/03/04.htm国税庁の質疑応答事例)

交換に関しては,所得税法第58条や所得税基本通達33-1の6に留意

所得税法(昭和四十年三月三十一日法律第三十三号)
第五十八条  
居住者が、各年において、一年以上有していた固定資産で次の各号に掲げるものをそれぞれ他の者が一年以上有していた固定資産で当該各号に掲げるもの(交換のために取得したと認められるものを除く。)と交換し、その交換により取得した当該各号に掲げる資産(以下この条において「取得資産」という。)をその交換により譲渡した当該各号に掲げる資産(以下この条において「譲渡資産」という。)の譲渡の直前の用途と同一の用途に供した場合には、第三十三条(譲渡所得)の規定の適用については、当該譲渡資産(取得資産とともに金銭その他の資産を取得した場合には、当該金銭の額及び金銭以外の資産の価額に相当する部分を除く。)の譲渡がなかつたものとみなす。

所得税基本通達33-1の6

33-1の6 
個人が他の者と土地を共有している場合において、その共有に係る一の土地についてその持分に応ずる現物分割があったときには、その分割による土地の譲渡はなかったものとして取り扱う。(昭56直資3-2、直所3-3追加)