司法書士法人 貝原事務所(沼津市の司法書士)

司法書士法人 貝原事務所(沼津市の司法書士)のブログです。業務に関連する話題はもちろん、それ以外の話題でも、関心を持った範囲で投稿してまいります。

本ブログに記載する情報(とくに法律・登記関係)の利用については、あくまで参考としてご活用ください。
弊所が情報の完全性を保証するものではありませんのでご留意ください。

 

相続させる旨の遺言と遺言執行者の関係

1.相続させる旨の遺言の効力

平成3年4月19日 最高裁判所第二小法廷 判決( 民集第45巻4号477頁)

判決要旨

「 一 特定の遺産を特定の相続人に「相続させる」趣旨の遺言は、遺言書の記載から、その趣旨が遺贈であることが明らかであるか又は遺贈と解すべき特段の事情のない限り、当該遺産を当該相続人をして単独で相続させる遺産分割の方法が指定されたものと解すべきである。

二 特定の遺産を特定の相続人に「相続させる」趣旨の遺言があった場合には、当該遺言において相続による承継を当該相続人の意思表示にかからせたなどの特段の事情のない限り、何らの行為を要せずして、当該遺産は、被相続人の死亡の時に直ちに相続により承継される。」

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52445

 

2.登記上の扱い

(1)登記原因

「相続」となる。

したがって、相続人による単独申請が可能(不登法63条2項)。

(2)遺言執行者の地位に言及した判例

平成11年12月16日 最高裁判所第一小法廷 判決(民集第53巻9号1989頁)

裁判要旨  

「特定の不動産を特定の相続人甲に相続させる趣旨の遺言がされた場合において、他の相続人が相続開始後に当該不動産につき被相続人から自己への所有権移転登記を経由しているときは、遺言執行者は、右所有権移転登記の抹消登記手続のほか、甲への真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記手続を求めることができる。」

上記判決一部抜粋

「(・・・)登記実務上、相続させる遺言については(旧)不動産登記法二七条により甲が単独で登記申請をすることができるとされているから、当該不動産が被相続人名義である限りは、遺言執行者の職務は顕在化せず、遺言執行者は登記手続をすべき権利も義務も有しない(最高裁平成三年(オ)第一〇五七号同七年一月二四日第三小法廷判決・裁判集民事一七四号六七頁参照)。(・・・)」

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=57035

(3)遺言執行者の登記申請権限

上記判例に記載の通り、「当該不動産が被相続人名義である限りは、遺言執行者の職務は顕在化せず、遺言執行者は登記手続をすべき権利も義務も有しない」ということになる。

 

3.登記申請時の添付書類

登記原因「相続」の場合と同様であるが、登記原因証明情報として次の書類。

ⅰ.遺言書(自筆証書遺言の場合は検認済証明書付)

ⅱ.被相続人の死亡を証する除籍謄本

ⅲ.申請者が被相続人の相続人であることを証する戸籍謄本等

遺言書なしの相続登記の場合と異なり、被相続人の相続人全員を確認するための戸籍謄本等は不要となる。