読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

司法書士法人 貝原事務所(沼津市の司法書士)

司法書士法人 貝原事務所(沼津市の司法書士)のブログです。業務に関連する話題はもちろん、それ以外の話題でも、関心を持った範囲で投稿してまいります。

本ブログに記載する情報(とくに法律・登記関係)の利用については、あくまで参考としてご活用ください。
弊所が情報の完全性を保証するものではありませんのでご留意ください。

 

市区町村等の合併・名称変更と登記/住居表示の実施と登記

まず、上記のテーマについてふれる前に、次の語の定義を確認。

1.住居表示の実施

2.市区町村等の合併・名称変更

 

「住居表示の実施」とは

住居表示の実施は、住居表示に関する法律(昭和三十七年五月十日法律第百十九号)に依拠して実施されます。

だいぶ省略しましたが、次の条文を参照。

第二条  市街地にある住所若しくは居所又は(・・・)施設の所在する場所(以下「住居」という。)を表示するには、都道府県、郡、市(・・・)、区(・・・)及び町村の名称を冠するほか、次の各号のいずれかの方法によるものとする。

一  街区方式 (・・・)街区符号(・・・)及び(・・・)建物その他の工作物につけられる住居表示のための番号(以下「住居番号」という。)(・・・)を用いて表示する方法をいう。

二  道路方式 市町村内の道路の名称及び(・・・)住居番号を用いて表示する方法をいう。

すなわち住居表示とは、「行政区画+(街区符号or道路名称)+住居番号」により表される住所・居所・建物所在であるわけです。

 

「市区町村等の合併・名称変更」

上述の住居表示においても、都道府県や市町村などの行政区画の名称が利用されるわけですが、この名称が変更されるケースとして合併や名称変更があります。

根拠法は次の通りです。なお平成の大合併の際には、特別措置法が制定され、それに依拠して実施されています。

 

地方自治法(昭和二十二年四月十七日法律第六十七号)

第三条  

地方公共団体の名称は、従来の名称による。

2  都道府県の名称を変更しようとするときは、法律でこれを定める。

3  都道府県以外の地方公共団体の名称を変更しようとするときは、この法律に特別の定めのあるものを除くほか、条例でこれを定める。

第六条  

都道府県の廃置分合又は境界変更をしようとするときは、法律でこれを定める。

第六条の二  

前条第一項の規定によるほか、二以上の都道府県の廃止及びそれらの区域の全部による一の都道府県の設置又は都道府県の廃止及びその区域の全部の他の一の都道府県の区域への編入は、関係都道府県の申請に基づき、内閣が国会の承認を経てこれを定めることができる。

第七条  

市町村の廃置分合又は市町村の境界変更は、関係市町村の申請に基き、都道府県知事が当該都道府県の議会の議決を経てこれを定め、直ちにその旨を総務大臣に届け出なければならない。

 

 

ここで最初に戻って、登記との関係ですが、不動産登記の関係で上記とかかわるのは次の事項です。

1.土地又は建物の所在の表示(表示に関する登記について)

2.登記名義人等の住所(権利に関する登記について)

 

「土地又は建物の所在の表示の変更」について

不動産登記規則において、取扱が定められています。

 

不動産登記規則(平成十七年二月十八日法務省令第十八号)

第九十二条  

行政区画又はその名称の変更があった場合には、登記記録に記録した行政区画又はその名称について変更の登記があったものとみなす。字又はその名称に変更があったときも、同様とする。

2  登記官は、前項の場合には、速やかに、表題部に記録した行政区画若しくは字又はこれらの名称を変更しなければならない。

 

 

以上は「表示に関する登記」に関する事項です。

そして、不動産登記規則第九十二条は、第十六条の二において「地図等」に準用されていますが、「権利に関する登記」について準用はありません。しかしながら、92条1項の主旨は「権利に関する登記」についても通用するものとされており、行政区画の変更については所有権登記名義人住所変更登記は、申請を要さず「変更の登記があったものとみなされる」こととなっています。なんだかモヤッとしますね。

ここで「行政区画」が何を指すかですが、「行政区画」とは「都道府県市区町村というような行政機関がその権限を及ぼしうる行政上の単位」を指し、これと行政区画内に存在する一定範囲の地域である「大字・小字」とは区別されます。92条1項後段で「字又はその名称」と記載されているのは、その趣旨です。

まとめると、市区町村の合併・変更(より厳密に言えば、「行政区画の変更」)については、「1.土地又は建物の所在の表示(表示に関する登記)」については職権による変更がなされ、「2.登記名義人の住所(権利に関する登記について)」については変更登記がされたものとみなされます。行政区画内の町名等の変更の場合についても同様です。

ちなみに商業登記については、同様の規律が商業登記法第二十六条に「みなし」規定があり、また商業登記法規則第四十二条により職権変更が定められています。

 

 

では、住居表示の実施と登記の関係ですが、先述の通り、住居表示は建物所在等の呼称であり、不動産登記法上で土地・建物を区別するのに用いられる所在・地番・家屋番号とは異なるもので、不動産登記と連動するものではありません。従い、「1.土地又は建物の所在の表示(表示に関する登記)」については何ら影響を受けません。

ただし、住居表示に伴い街区名がふされ、大字名が変更になった場合には、92条「字又はその名称に変更があったとき」に該当し、変更がなされます。

 

片や、「2.登記名義人の住所(権利に関する登記について)」については、あくまで登記名義人の「住所」を記録する必要がありますので、住居表示の変更により、その記録を変更する必要があります。そして、みなし規定や職権変更に関する規定はありませんので、原則に立ち返り自らが変更登記申請をすることとなります。

 

結局のところ、数字がかわるときには申請が必要で、数字はかわらないときには職権で変更あるいは変更されたとみなされるということに。

 

以上となりますが、変更登記申請が必要となるときの登記原因は、変更根拠により異なります(例:町名変更、住居表示実施等。)。また、変更に必要な登録免許税は、免除されます。